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ル・アーヴル、オギュスト・ペレによる戦後復興アパートを見学

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↑コンクリートの大黒柱!


フランス第二の港町ル・アーヴル🇫🇷
建築家オギュスト・ペレによって再建された
戦後復興都市で、
ユネスコ世界遺産です。

その #オギュストペレ が手がけたアパートは見学可能で、要予約。
以前から見たい見たいと思っていましたが、ようやく念願かなって
パリから日帰りでたずねました。


この日の見学テーマは、国際女性デーにちなみ、
「復興当時の女性の暮らし」

フランス政府公認ガイドさんのおかげで学んだことは、

・見学アパートは約90平米で夫婦+子供4人を想定したもの
・中の上クラスの家庭向け (もっと高級なアパートもあれば、もっと庶民的なものも在り)
・家政婦なしでも暮らせる設計(家政婦なし、が画期的!)
・当時の女性の家事は1日平均8時間強(➕パートタイムで仕事もしていた)
・ #salondesartsmenagers #サロンデザールメナジェール
 (家事芸術見本市、家電見本市)なるものが毎年グランパレで開催され大人気

などなど。

ペレ建築事務所には当然ながら女性は1人もおらず、
その中でどのようにして家事のしやすい空間づくりが実現できたか?
そ・れ・は
女性ジャーナリスト #paulettebrenege が、
復興住居の家具デザイナー #マルセルガスコワン に
多大なる影響を与えていたから!
#marselgascoin

とまあここでも、女性の手柄は
特権階級である男性に持っていかれていました。
*抽象芸術も女性を下敷きにしていた、というポンピドーセンターの展示は→ こちら

ともあれ、
当時の暮らしが再現された空間に身を置き、
ミッドセンチュリーデザインが本当に機能的で上質で、
完成されていることにひたすら感動🙏

1945年、
戦争で焼け出された市民に一刻も早く住居を、
とプレハブ工法で建設された街並みが
今になって流行のヴィンテージスタイルになっている

ル・アーヴル、
焼け野原から立ち上がった
文化的で穏やかな都市です。





ではでは、早速中へ!
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玄関入ってすぐ左手が子供部屋。
右手はキッチンで、正面にそのままサロンが続く作り。
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↑ベッドの下にもう1台、ベッドが隠れています。

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板張りの床、木の無垢材の家具とおもちゃ。

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↑家具は全てマルセル・ガスコワン。
何をどこにしまうか、緻密に計算された作りが特徴。


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↑ちっちゃなチケットは
小学生が先生からもらえボンポワン。
いいことをするともらえたそうです。


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↑↓いわば、IKEAと同じ仕組みですが、
マルセル・ガスコワンは家具の機能性を北欧デザインから学び、
ガスコワンが完成させた仕組みを使ってIKEAが今、安い家具を作っている、
という、混じりあり現象があるようです。
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↓子供部屋の正面がキッチンの入り口で、
左側がサロン。
どの部屋も廊下なしで、ドアを全開すれば一つになるような
開放感ある間取りです。
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 ↓サロン
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↓キッチン
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↑天井したのガラスの仕切り(おそらくこれだけで料理の蒸気がストップできる)と、
布巾などを干すハシゴ状のもの、便利だわ〜❤️
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↑フランス政府公認ガイドさんの話では、この冷蔵庫は「ウソ」。
戦後直後40年台後半の家庭にはまだ
冷蔵庫はなかったそうです。
当時、冷蔵庫はかなりの高級品で、
一般家庭に普及したのは70年台になってからだと。
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↑キッチンで食事をすることは
アメリカ流ということで、新しいこと、ナウなこと、
と歓迎されていたそうです。


↓ サロン。向こうに見えるのが子供部屋。
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↓見てください、このおしゃれなインテリア!
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↓サロンのくつろぎコーナー。
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↓ 1人がけソファで、カウチでは無いところがフランスらしいですね。
「フランス人は10着しか服を持たない」の中に書いてありました、
アメリカ人はカウチの生活だからだらしなくなる、と・笑
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↓書斎になっている部屋も、ガイドさんの話では「ウソ」で、
当時の資料では「寝室」として販売されていたそう。
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とはいえ、ミッドセンチュリーデザインがほんと、
最高におしゃれです。

↓書斎の向こうはクロゼット的な空間で、
その先はバスルーム、さらにその先が夫婦の寝室。
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↓当時の掃除機。掃除機などのマシンを使って
家事を軽減する、というアイデアに
当時の人たちはやっきになっていたそうです。
女性の仕事を、機械に肩代わりさせる、という。
男性も半分家事をする、という発想は皆無だったようでした。
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↓反対側はクロゼット
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↓バスルーム、このまま普通に素敵ですよ!
レトロ、ヴィンテージ!
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↑手前の丸いものは手動の洗濯機。
その隣の四角いものが電動の洗濯機。

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↓夫婦の寝室
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↑ 家事と家庭経済専門ジャーナリスト
ポレット・ベルネージュ。



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極薄いピンクに潔く引かれた黒のライン。
アールデコの美を彷彿とさせます。



結論:
コルビュジエよりオギュスト・ペレ!
私はペレ派だと痛感しました。
住むならル・アーヴルのこのアパートを選ぶから。

ル・コルビュジエが戦後の全く同じ時期に
全く同じ目的で、
同じように国の依頼で作ったシテ・ラディユーズ→ こちら!
マルセイユの太陽のもと、斬新さや工夫、建築家の理想が輝いていましたが、
住みにくさもひとしおだと思います。
コルビュジエ、もっと自由をよろしく。



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by keikosuminoleb | 2024-03-12 03:40 | 南仏とフランスの地方 | Comments(0)

パリ在住26年ライター&コーディネーター角野恵子目線のパリ情報です。Keiko SUMINO-LEBLANC, journaliste japonaise, FOOD et Life Style.


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