外出制限の日常〜6 26日目 31歳 セラミッククリエーター サラさんの場合

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「最低15日間」と、マクロン大統領の宣言でスタートした

フランスの外出宣言も、

早いもので4週間、26日目。

その間に、許される外出の範囲が徐々に厳しくなりました。


外出可能な理由は、以下のとおりで

最初から一貫して同じ内容 ;

ー 必要最低限の買い物(食料品や薬)

ー 通院

ー ジョギングなどの運動、犬の散歩

ー 助けが必要な身内の手伝い

ー テレワークが出来ない仕事の通勤




ですが、今では内容が厳しくなって、

ー 自宅から1㎞以内

ー 2人連れはダメ、親子の場合は親1人に対して子供1人まで!

ー ジョギングは10時〜19時を除く、1日1回

ー 罰金は135ユーロ(約1万6千円) *38ユイーロ(約5千円)だったがすぐに値上がり





などなど、細かいです。

それだけ、規制を都合よく解釈する人や、

緩く捉えてしまう人が多かったと。


フランスの新聞「フィガロ」(2020年4月8日)によると、

20日間で5万3千もの罰金(切符)が切られたとのこと。

単純計算で、1日に2650件。

まあそんなもので済んでいるのだな、と、個人的な印象です。




そんな外出制限も、26日目ともなると

買い物で外を歩きながら

「店のシャッターはしまっていても、結構人が出歩いているものだな」

「戦争中も、こんな風に人々は普通に(?)生活を続けていたのだろうな」

などと思ったり。

これが非日常でななくなりつつあるような・・・

無理もありません、ほぼ1ヶ月経つわけですから!!






外出制限26日目のインタビュー、

今回はセラミッククリエイターのサラ・テロンさんにお話を伺いました。

自身のブランド doudou toucan を立ち上げて4年目、

パリ市内のアトリエで、made in paris のオブジェを作っています。

パリのクリエイターは、この外出制限をどう生きているのでしょう?
*トップ画像は、サラさんのアパートからの眺め!
夏時間、19時過ぎのパリの空です!




名前:サラ・テロン氏 (女性)


年齢:31歳


職業:セラミッククリエーター doudou toucan


家族:パートナーと2人暮らし 


住まい:若者に人気のサンマルタン運河から徒歩10分の、活気あるエリア

7階建てアパートの最上階、45m2






ー外出制限から26日、どんな生活ですか?



いつもと変わらず毎日アトリエへ行って、仕事をしています。

自宅から徒歩10分のところにアトリエがあるのはラッキーでした。

私と同じセラミックのクリエイターでも

自宅からアトリエまでの移動がメトロやバスだったりする人は

外出制限からはみんな、仕事を休んでいます。

毎日、通勤時には必ず 政府のサイト からダウンロードした

移動許可証を携帯しています。

これに記載されているように、テレワークが不可能な仕事の場合は

出勤が許されています。

いいえ、警察のチェックは、まだ一度も受けたことがありません。




いつもと同じようにアトリエで作業をしているとは言っても、

通常は4人のチームで働いていますが、今は私1人だけです。

また、アトリエの一部をブティックにしているのですが

今は閉めていますし、

毎週5、6回開催していたワークショップもお休み。

本当に静かです。




この静かな環境は、私にとっては悪いことではありません。

制作作業に没頭できますし、

経営上の事務仕事から離れて

職人としての本質に立ち戻ることができたので。



他のメンバーはどうしているかというと、

doudou toucan は4人のチームで、

創業者は私、会社員が2人、

もう1人はフリーランスです。

フリーランスさんは、週の半分だけ出勤してもらっていましたが

今は自身の制作活動に集中しています。

会社員の1人は、一時失業給付金で対応し、

もう1人は、産休に入りました。





ー通常と変わらず制作活動を続けているサラさんの様子からは、

普段通りの活気が感じられます。

今の生活は辛いですか?



そうですね・・・

外出制限で職を失った人や、

小さな住まいに暮らしている人、

劣悪な環境にある人のことを思うと

とても言いにくいですが、私にとっては辛いことではありません。

第一、辛いかどうかを問われれば、辛い思いをしているのは

私ではなく、他にたくさんいると思うのです。

私は今、健康ですし、眺めの良いこのアパートは

メンタルにとても良い影響を与えてくれますし、

それにもともと自由業ですから、

外出制限だからといって

改めて生活リズムを管理しているわけでもないのです。

会社勤めの人と違って、規律ある生活を送るよう

常日頃から意識しています。

さもないと、遅くまで起きていたり、

生活リズムはすぐにめちゃくちゃになるでしょう。

外出制限中も、同じ規律を守っているだけです。



私は今のこの環境を活用して、

新しいものづくりをしたり、

今まで試したことの無い技術にチャレンジしたりしたいと

思っています。

外出制限が終わったら、きっとたくさんの新作が登場しますよ!(笑)

ええ、本当にラッキーな境遇にあると思います。



パートナーですか?

彼はエコノミストで

アメリカのクライアントと仕事をしている都合上、

時差で遅くまで仕事をしていますよ。

もちろんテレワークに切り替えています。





ー6月のパリコレクションの中止が決まりました。

クリエーターとして、商品を売る仕事の将来をどう見ていますか?




私の仕事は、モードの要素、つまり

流行を取り入れる早さや、変化が求められる部分も少しありますが、

セラミックはスローライフというか、長く愛される要素の方が大きいものです。

外出制限を体験した後の世界は、後者の価値観が支持されると思いますから

その点では心配はありません。

でも、今後経済がどう変わっていくかは誰にもわかりませんよね。

そう思うともちろん不安は感じます。

誰にもわからないことを今から悩んでも仕方ないので

できるだけポジティブでいたいと思います。





ー運動不足の心配は有りませんか?


トレッキングが大好きなので、それができないのは寂しい!

運動不足は確かに辛いです。

毎週1回通っていたジムと

コンテンポラリーダンスもできなくなりました。

代わりにジョギングをしています。

今、大勢の人が走っていますよね。

家の中にずっとこもりきりなわけですから、みんな外で思い切り

心身を発散したいんだと思います。



YouTubeやアプリで運動することはしていません。

それよりも、本を読んでいます。






ー外出制限のおかげで発見した、ポジティブなことはありますか?




車の無いパリの街を歩くのが、こんなにも気持ちいいなんて!

交通量の規制は、外出制限が終わった後も、継続してもらいたいことですね。

私たちは日常生活に車は使いません。

バカンスに行く時に借りるくらいです。

商品の納品や配送も、アトリエのすぐそばに郵便局があるので

車がなくても全然困らないのですよ。




ーでは、この外出制限が解けた暁には、何をしたいですか?


友達と一緒に、近所のお気に入りの店で乾杯したいです。

友達もみんな近所に住んでいるので、集合するのは簡単です。

それから電車に飛び乗って、

フォンテーヌブローでトレッキングをしたいですね。










メルシー、サラさん!







サラさんのブランド 『ドド・トゥカン』
とてもかわいいです❤️
↓ ↓ ↓ ↓ ↓

サラさんと初めて会ったのは、2016年のクリエイターイベントでした ↓ ↓



サラさんは、パリコレのシーズンに開催される各サロン

(プルミエールクラスやトラノイなど、クリエイターの見本市)

には一度も出店せずに、

Instagram dodo touucanだけで、各国のクライアントから注文を受けているそうです。


コロナウイルスを体験した後の世界は

より人間思いで、環境思いのポジティブな方向へ

変わることができるでしょうか?

もし変わることができるとしたら、

サラさんのようなコツコツとクリエーションを続ける職人さんが

彼女の作品を好きだと思うファンたちから

直接に支持されて、報酬を得て、

つまりフェアトレードでやって行くことができる世の中になるはずです。


そうなるといいな。。。





サラさんのお話を聞きながら、

スペインの北原由紀子さんを思い出しました。

彼女も、外出制限の中で、マイペースで仕事を続けていると

話してくださいました。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓




未曾有の事態を経験するとき、人は途方にくれるものだと思いますが、

サラさんや北原由紀子さんのような職人さんは

平常心を失いません。

そういう強さを持った人たちが、職人さんであり、

クリエーターさんなのですね・・・






*****


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by keikosuminoleb | 2020-04-12 04:19 | パリのニュース 街と人 | Comments(0)

パリ在住26年ライター&コーディネーター角野恵子目線のパリ情報です。Keiko SUMINO-LEBLANC, journaliste japonaise, FOOD et Life Style.


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