外出制限の日常〜5 15日目 46歳 パリ市観光局勤務 エロディさんの場合

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2020年3月31日(火)

パリの外出制限も、3週間目に突入です!涙



パリは世界一の観光都市。

コロナウイルスによる経済危機は、

2015年のテロや、2018年の「黄色いベスト」デモ、2019年末のゼネストを

くぐり抜けてきたこの街へ、これまでにない大打撃を与えています。



今回インタビューに応じてくださったのは、

パリ市観光局に勤務するエロディさん。

現在、テレワークで行っている業務の内容も、

観光業界の危機管理のお話も、大変興味深かったです!




*写真は、今朝エロディさんが撮影した窓から見た日の出。



名前:エロディ・ベルタ氏 (女性)

年齢:46歳

職業:パリ市観光局市場開拓担当

家族:1人暮らし 

住まい:移民の多いパリ北部、ラ・ヴィレット公園そば
7階建てアパートの最上階、45m2、バルコニー有り




ー外出制限から15日、どんな生活ですか?

テレワークで仕事をしています。
時間帯は、自分の判断でゆるめにしていますが、
普段よりパフォーマンスが落ちることは自分自身納得できませんので
仕事の質は保っています。

職場の仲間によっては、普段の就業時間の通りに
9時から12時まで仕事をして、昼休みをとって、
午後は13時から18時まで、というふうに
とても規則正しく仕事をしている人もいます。
子供や家族がいる人は、大概そうですね。
ラ・ロッシェル(ボルドー方面にある海沿いの街)に住んでいる私の妹もそう。
彼女には子供が2人いるので、
普段と同じように早起きして、シャワーを浴びて
着替えて、身だしなみを整えて、1日をスタートしていますよ
家族のある人は、食事の時間もきっちりと決まっています。
私は午後の2時にお昼を食べても平気ですが、
子供は12時にお腹が空きますから(笑)
生活リズムはおのずと規則正しくなるわけです。
それに今は、家庭が学校の役割を担って
勉強させないといけませんし。


その点私は1人ですから
私は7時半頃に起きて、
9時頃にパソコンをつけてメールをチェックしながら
コーヒーを飲んだり、皿洗いをしたり・・・
パジャマ姿のままですよ(笑)。
一日中ずっとパソコンをつけて、仕事に目配りを欠かしませんが、
100%仕事だけに集中しているわけではなく、ラジオを聞きながら
40%仕事、60%個人的なメールやメッセージ、という感じ。
その代わり、たとえ深夜でも、週末でも、即座にメールに応えます。
通常はもちろん、土日は休みです。

今の主な仕事は、
医療関係者のために解放されているパリ市内のホテルやAirBnBを
必要としている医療機関に手配したり、
病院に食事を提供し始めたレストランと、それを配達する先のコーディネートをしたり。
はい、仕事は多いです。

収入の心配は、今の所ありません。
テレワークで働いていますから、通常通り額面100%の金額が支払われます。
少なくとも、今のところはそうです。
もしこの状況が長引いたら、有給を使ったり、
さらにその先は一時失業手当が当てられたり、
ということになるでしょう。
どのみち、フランスの年度は6月しめなので、
5月末までに有給を消化しなければなりませんし。
ちなみに今日は、有給をとっているのですよ!




ーパリの住人の多くが、外出制限を受けて
地方の実家や親戚の家に避難しました。
エロディーさんも、そうしたいとは思いませんでしたか?

私の実家は、南仏のアヴィニョンにあります。
(*パリで外出制限するよりも、南の太陽の元で、と、
アヴィニョンで1人暮らしする長女のアパートへ移動した友人有り)

でも、パリ暮らしの方が長くなってしまった私が、
今、両親と一緒に暮らしたら
向こうがキレるか、私が先か、
そんなことになるのはわかりきっていますから(笑)
いえいえ、ありえません。
ここが私の居場所です。
両親のいるアヴィニョンにも、
妹家族がいるラ・ロッシェルにも、行きたいとは思いませんでした。

それに幸運にも、ほんの6ヶ月前に
今のアパートに引っ越したばかりなのです。
以前はずっと狭い所に暮らしていたので、
外出制限が始まった時につくづく
「日当たりがよくて広い、この部屋でよかったー!」と、
安堵しましたよ(笑)!!
本当に救われました。







ー今の生活は辛いですか?

辛いのは、孤独を感じることですね。
普段は、職場で6人チームで働いているので、
必ず誰かがそばにいます。
直接何かをたずねたり、常になんらかのコンタクトがあります。
夜も、クライアントをレストランやキャバレーに案内したりして
イベントがとても多い。
クライアントは、各国の旅行代理店などです。
彼らを案内する時は、ホテルの朝食を見せることから始まって
翌午前2時のムーランルージュのスペクタクルまで、
長時間に渡ります。
それにプライベートでも、映画に行ったり、友達とバーへ行ったり、
本当に毎晩出かけているので、こんな風に1人になることは普段ありません。
誰にも会わない、誰とも直接話ができない、
レストランへ行くなどソーシャルライフがない、
なんのイベントもない・・・という環境が、一番辛いです。

巷では、スカイプを使って友達同士で乾杯して
アペリチフ(食前酒)を楽しむのが人気のようですが、
私の友人たちはそういうタイプではありません。

でもご心配なく、孤独を感じることはあっても、
現状に疲れたり、精神的に参ったりということはありません。
疲労を感じる要素は、特にありませんから。





ー運動不足の心配は有りませんか?

もともとスポーツ愛好家ではないので、特に運動不足は感じていません。
はい、確かに外出の多いアクティブな生活を送っていましたが、
でもお出かけすることは、スポーツではないので・・・

今は、3日に1回、1時間だけ、外を歩くようにしています。
何度かアプリを使ってヨガに挑戦もしてみましたが、
あまりピンときませんでした。

ただ、運動不足は感じないとしても、これが長引くと困ります。
私が唯一楽しみにしているスポーツは自転車で、
毎年、5月くらいから夏にかけての気持ちのいい季節に
近所のサンマルタン運河沿いの自転車レーンを
1時間くらい、サイクリングするのが好きなのです。
運河沿いは地面が平ですから、自転車をこぐのもとても楽。
もしも、外出制限が5月、6月まで続いたら・・・それは問題です!(笑)





ー外出制限のおかげで発見した、ポジティブなことはありますか?

疎遠になっていた友達や親戚と、改めてコンタクトを取ることができました。
時間ができたことの巧妙ですね。

仕事面では・・・これはなかなか微妙ですが、
危機管理フォーマットを今回、テストできたことでしょうか。
2015年のテロの直後に、危機的状況に遭遇した際
私たち1人1人が何をすべきか、
ケースごとの行動パターンが考案されて、マニュアル化されました。
このマニュアルを、昨年就任した新ディレクター(女性)が
専門家に依頼してより洗練・充実させ、
危機管理フォーマットとして完成させていただのです。

例えば、2015年の同時多発テロを例にとると、
事件は金曜日の夜に発生しました。
その時間、観光局職員は全員が就業・帰宅していたので、
HPの掲載情報が更新されないまま、土日をやり過ごし、月曜日になりました。
つまり、テロ翌日の週末、全ての美術館が閉館したにもかかわらず
HPの情報は変更されなかったのです。
週明けの月曜日、すぐに会議が開かれて対応策があぶりだされ、
危機的状況下の行動マニュアルが構築されました。
このマニュアルが昨年末、専門家によってさらに洗練・強化されたわけです。

そして今回の外出制限に、このフォーマットが適用されたのでした。
これがスムーズに機能し、連絡網を通じて情報が行き渡り
諸々のアップデートが行われ、
SNSを活用しての情報発信もタイムリーなことがわかりました。
必要なフィードバックを、1人1人がいかに素早く的確に行うか。
その詳細がクリアであることは、職員である私たちみんなに必要です。

ですので、これはよかったことではありますが、
もちろん、こんなことは適用されないのが一番ですけれど・・・

危機管理に関連して、
今、私たちが当たっているメインの仕事の1つに
この外出制限が終わった後の、観光業界のサポートがあります。
この秋に予定されていた国際モーターショーが、
今日、キャンセルになったので、
満員御礼だったホテルの穴をどう埋めるか。
対策・バックアップのシナリオを、いく通りも準備しておく必要があります。
こういう危機的状況に対するシナリオは、
2024年のパリオリンピックに向けても
十分に練られています。
この金額の予算を当てて、これこれの分野にこれだけのリターンを得る、
というシナリオが実現しなかった場合の対応策を、
1、2、3通り・・・と、準備しておくことはとても重要。

そういう意味で、今、東京オリンピックの行く末を
私たちは大きな関心を持って観察しています。
多分この夏あたり、日本に行く同僚は多いはず。
現地で実際のところを見ておきたいのです。
オリンピック延期という前代未聞の事態に、
日本政府がどのような政策をとって、それがどういう結果をもたらすのか。
今後のシミュレーションのために見逃せません!


ご存知ですか?
パリ市の住人の10人に1人が、観光関連の仕事に従事しているのですよ。
観光業はとても重要なセクションなので、
国、地方、街、3つの行政から多くの支援を得ています。
今回も観光業界を支えるために、この3つの行政から
予算が当てられます。
国家にとっても、今、お金をかけて業界を救っておく方が、
今後発生するであろう失業者を未然に防げるわけですから、
その方がお金がかからないのです。




ーでは、この外出制限が解けた暁には、何をしたいですか?

すぐ近所のバーへ行って、隣にいる誰かと話をしたいです。
きっとみんな同じ心境だと思うので、友達と一緒でも一人でも、
みんなバーに集まるはず。
そこに集った人たちと、以前のように安全距離などに気兼ねせずに
普通に話をしたい・・・早く、今ある警戒のテンションを忘れたいです。

それから、すぐそこに住んでいる彼氏に会って、
前のようにキスをしたいですね。
今は、彼がジョギングに出る時にSMSを送ってくれて、
私はバルコニーから手を振っています。
人間味のある直接のコンタクトを、また感じたいです。







メルシー、エロディさん!



「今回の危機は、飛行機がストップするという

これまでにない事態を招いています。

テロも、ストも、デモも、飛行機のフライトには影響しなかったので

観光業界も立て直しが出来ましたが、

今回は観光客を運んでくる航空会社に大きなインパクトを与えています。

小さなキャリアは倒産を免れないでしょうし、

そうなると旅行をする予定だった人も、実現ができなくなる。

旅行者を連れてくることができなければ、観光業界はなんの手を打つこともできませんから

ここが大きな問題ですね。

本当に、これまでに体験したことのない危機です。」



と、とてもシリアスな話もされました。

でも、今はとにかく、この外出制限をくぐり抜けることが最優先!

くぐり抜けて、これが終わった時に、何が待っているかは未知数ですが、

ひとまずは今を最良の状態で過ごすことに

集中するよりありません。







エロディさんが勤務する
パリ市観光局サイト ↓










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by keikosuminoleb | 2020-04-01 02:03 | パリのニュース 街と人 | Comments(0)

パリ在住21年ライター&コーディネーター角野恵子目線のパリ情報です。Keiko SUMINO-LEBLANC, journaliste japonaise, FOOD et Life Style.


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