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ラ・メゾン・デュ・サケ パリの日本酒リポート② フランス人にわかりやすい分類、陳列で売り上げUP!

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「フランス人に日本酒を選んで、飲んでもらうには

どうしたらいいのか」


を、2007年「イザカヤ・ユーリン」のオープン以来

ずっと考え続けてるユーリン・リーさん。




その回答として、2016年にオープンしたのが 

la maison du saké  ラ・メゾン・デュ・サケ。






それまでに

ユーリンさんが体験してきたことは・・・




パリで日本酒の試飲会を開催する。
パリジャンは味がわかるので、日本酒の美味しさに目覚め、絶賛する。
「買いたい!」ニーズが盛り上がる。
が、ディストリビューターが決まっていない蔵元の日本酒は
販路がなく、売れない。
(その時点で販売用に輸入ができていない、ということ)
せっかく買いたいのに買えない。
せっかく売りたいのに売れない。



このジレンマを解消すべく
ラ・メゾン・デュ・サケをオープンしたのでした。
現在は、2016年のオープン当時とは
かなり形態が変化しています。

*2016年の様子は → こちら! と こちら!!




まず、併設のダイニング居酒屋が
ガストロノミーレストラン ERH(エール)に変わり(2018年ミシュラン1つ星獲得!)


ボジョレーヌーボーにならった
「サケ・ヌーボー」イベントの
推進・定着化にも尽力。




日本酒専門店、ショップ、としての変化としては、

「分類」と「陳列」を新しくしたこと








「これまでも、フランス人にわかりやすいように

日本酒を分類し、説明してきましたが、

その分類をそのまま

ディスプレイに採用したのです。

これによって売り上げが大きく伸びました」


と、ユーリンさん。




どんな分類なのか?!

順を追って見て行きましょう。






まずは、サケ・モデルヌの棚。
(サケ・モダン)



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獺祭、AKABU、紀土

など。




「純米大吟醸に代表される

華やかな香りの日本酒、

ワイングラスで飲みたい日本酒を

『サケ・モデルヌ』に分類しています。

吟醸酒という技術は、日本酒の歴史の中では

新しいものですので」




と、ユーリンさん。








続いてサケ・トラディショネルの棚。

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剣菱

リヨン近郊の Les larmes du levant

イギリス人杜氏が京都の蔵で醸す やんわり




など。




「ワイングラスで飲みたいサケ・モデルヌとは対照的な

おちょこで飲む日本酒、

燗酒にも向いている日本酒が

サケ・トラディショナル。

しっかりとした骨格があります」















3つ目の分類は

サケ・ナチュール
(サケ・ナチュラル)

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ヴァン・ナチュール(ナチュラルワイン)のように

自然に作られた日本酒。

酵母を添加しない日本酒。


日本酒は無添加なので、全てナチュラルなのですが

酵母を添加しないということで、

生酛や山廃がここにカテゴライズされます。




「フランス人はサケ・ナチュールが好きですよ。

ワインの国の人々なので、

醸造の技術を感じられる味に

興味を示します」










4つ目の分類は

サケ・ナマ


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無濾過、加熱処理なしの日本酒は

海外では飲めないだろうと思っている方、

パリでも買えるのです!!


ちなみに
ラ・メゾン・デュ・サケ以外の店でも買えます。

ラ・メゾン・デュ・サケは

商品によっては2週間ごとに冷蔵便で輸入。

冷蔵管理の行き届いた倉庫も

パリ郊外に確保しています。

だから、デリケートな生酒の品質も間違いなし!




生のお酒の優しさや、微妙さ、

フランス人は大好きでしょう〜!!








5つ目の分類は、「それ以外」となり
柚子酒、あんず酒、スパークリングなど。

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この分類と陳列のおかげで、

日本酒を能動的に選べる、

自分で理解しながら比較検討できるわけです。


うんちく大好きで、オタク的なところのある(と私は思っています)

フランス人にぴったり!!





ワイン文化の中で育った人たちにとって

わかりやすい説明と

わかりやすい陳列をしてあげる。

重要なことですよね。


日本酒を、ワインの文脈に"翻訳"して説明してあげることは

日本酒をポピュラーにする鍵だと、

私ももうずっと思っていました。

それを具体的な形にしているユーリンさん、

あっぱれです。





そんなラ・メゾン・デュ・サケが取り扱う日本酒の価格帯は
28〜85ユーロがメイン。



獺祭・その先へは399ユーロ。
これがラ・メゾン・デュ・サケ一番の
高額商品です。

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「今後は100〜200ユーロの日本酒を

充実させたいと思っています。

プレゼント用に日本酒を買いに来るお客様は

みなさん100ユーロ以上を予算にしているので。

そのニーズに応えたいと思います」









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もちろん、酒器もありますヨ。




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ヴィンテージ(骨董?)や、

熱燗用の徳利とおちょこのセット


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冷酒用の徳利とおちょこのセット


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グラスもあります。

フルートグラス、スパークリング日本酒に。


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分類・陳列の他にも

ラ・メゾン・デュ・サケの強みはあります。

「サケ・バー」があることが、まずその一つ。




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私の取材中も、マルセイユから来たという3人組が


「父親のクリスマスプレゼントを1本欲しいのですが

おすすめはなんですか?!」


と、やってきて賑やかに試飲をしていました・笑


ユーリンさんは、本当に丁寧に接客をします。


まず、サケ・モデルヌから数点、

続いてサケ・トラディショネルから数点・・・

と、試飲をさせ、じっくり選ばせる。




「こうやって試飲をさせされるのも

サケバーがあるおかげです」

と。










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ちなみにこのサケ・バー、

いろいろな日本酒を8〜15ユーロというお手頃価格で楽しめ、

おつまみもあるので

私は大好きなんです❤️


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バイトさせてもらいたいくらいです・笑

パリ在住日本人のみなさま、

フランス人、パリを訪れる各国からの観光客のみなさま、

ここサケ・バー、おすすめです。

くつろげます。









先ほどの試飲の後半に

ユーリンさんは玉川 木下酒造の

「やんわり」を出しました。



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イギリス人杜氏 フィリップ・ハーパー氏が醸す京の地酒『やんわり』




「私これ絶対すきー!」と先入観とともに試飲。
しかし、この日私が購入したのは

開春『石の顔(かんばせ)』



味とか、好きだとかいうことなら
AKABUは絶対なのですが、
『石の顔』は、なにかこう、
もういっぺんちゃんと飲んで正体を突き止めたい
と思わされるものがありました。
で、値段も買える値段だったので
購入した次第。
(値段、やっぱり重要ですよね)




このようにして、お客さんは日本酒を選び、
買うわけですね・笑



で、もう一つ

ラ・メゾン・デュ・サケの強みは

ガストロノミーレストラン『エール』があることです。



「北村啓太シェフの料理は、本当に素晴らしい。

素晴らしい料理と日本酒を合わせることで

日本酒の魅力がさらに引き出されます。

説得力のあるペアリングで日本酒を体験したお客様は

そのあとに必ず購入してくれます」



と、ユーリンさんの話でした。


もともとは、ディナーに来たお客様が

その帰りにショップで1本買って行く、という

イメージを描いていたそうですが




「いい映画と同じですね。

見終わった瞬間、いいな、と思っていたとしても

そのあとでさらに、どんどんと

映画の存在感が増してくる。

そういう体験を経て、お客様は

再度来店してくれるのだと思います」





ガストロノミーレストラン『エール』の他に、

地下には、ウイスキー専門バー

『ゴールデンプロミス』も控えています。

すべて、日本酒を知らない人に知ってもらうための工夫。

試行錯誤した上の策なのでした。



そんなラ・メゾン・デュ・サケを

私は今後も応援して行くと思います。





la maison du saké

11 rue tiquetonne

75002 paris

ショップ :

11h - 00h(火〜土曜)

バー・ア・サケ(サケバー)

18h - 00h(火〜土曜)












楽天市場



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by keikosuminoleb | 2020-01-04 05:59 | パリで日本酒 | Comments(0)

パリ在住26年ライター&コーディネーター角野恵子目線のパリ情報です。Keiko SUMINO-LEBLANC, journaliste japonaise, FOOD et Life Style.


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