毎年楽しみにしている
ヨーロッパ文化遺産の日。
今年2019年は、9月21日と22日の土日に開催されます。
フランス文化省公式サイト⇨ こちら!
普段は入れないお役所内部や、歴史的建造物を見学できる
貴重な2日間。
ユネスコ本部も昨年に引き続き
ヨーロッパ文化遺産の日に公開されるとのこと!
これに先駆け、プレス説明会に参加させてもらいました。
ガイドさんの引率で、ユネスコ本部を見学です!
そしたらば、知らなかった事実が次から次へ。
まず、ユネスコは
入場無料のエキシビションを
定期的に開催しているとのこと。
入り口の玄関ホール奥のこのスペースがエキシビション会場。
現在展示されているのは
スペイン人アーティスト
Olga Diegoさんのインスタレーション。
タイトルは
『Jardín Autómata』
クラゲのように透明で
ふわりふわりと浮遊する
不思議なクリエーチャーたち。
その奥の突き当たりに、
ジャコメッティの代表作『歩く男』。
ユネスコ本部の敷地内には各国のアート作品が点在しているのですが、それらは以下、3つの由来(?)があるそうです;
①ユネスコがアーティストにオーダした作品
②諸外国(のアーティスト)からの寄贈作品
③ユネスコが購入した作品(残念ながら、これは近年ほとんどないそうです)
ジャコメッティのこの作品は
①ユネスコがアーティストにオーダーした作品。
第二次世界大戦後、
もう2度とこの惨事を繰り返すまい、と
手を取り合ったヨーロッパ諸国。
「傷つきながらも前へ進む意志を表するこの作品は
ユネスコ創立当初の精神を象徴するに
ふさわしと考えられました」
と、ガイド氏。
ユネスコ、と聞くと、
つい私たちは世界遺産を思い出しますが、
もともとの発祥は
戦争を反省し、平和を実現するための組織。
そのことを思い出すために
このユネスコ本部の建築がいかに有益か、
内部を歩いていると痛感できました。
一緒に見て行きましょう。
ヘンリー・ムーアの彫刻。
イギリス人アーティストですね。
綺麗に刈り込んだ生垣の向こうは、
なんだと思いますか?
フランス式庭園ではなく、なんとオフィス!
上から見るとこんな感じ。
オフィスの建物を高く建設するのではなく、地下に作る、という。
こうしたおかげで、庭に配されたアート作品は建築物に邪魔されることがありません。
エッフェル塔もよく見えます。素晴らしいランドスケープ。
地球儀のインスタレーションはデンマークのアーティストErik REITZELの作品。
かの有名な会議室のある建物内にも、アートが。
オランダ人アーティストKarel APPELのキャンバス画。
モダニズム建築の空間に映えます!
この作品の真向かいに、会議室の入り口があり・・・
こちら↓ が、その入り口。上には、アイスランドのアーティストERROの作品。ポップ!
その内部、会議室!ステージ左に、同時通訳のブースが見えます。
何の会議も行われなていないこの状態ですら、特別な緊張感が漂っていました!
アートで面白かったのは、こちら ↓パブロ・ピカソの作品のエピソード。
一目でピカソとわかる作品に、picassoのサインがありません。
なぜか?
ピカソさん、ご立腹されたそうなのです!
「こんな邪魔なものがある場所に、私の作品を飾るのか!」
ということで、サインはしなかった、と。
ほおおお〜〜〜〜
そのピカソの作品の先に、
古い会議室がありました。
「ここは早急にリニューアルが必要」とのことでしたが、このビンテージ感が、私にはたまらなかった!
もっとちゃんと写真を撮ればよかった・・・
確かに設備は古かったですが、このミッドセンチュリー空間を改装して変えてしまうのは惜しいです。
もちろん、諸々を十分に考慮してリニューアルするとのことでしたが。
さて、先ほどの生垣の庭のメイン塔を挟んだ反対側には
イサム・ノグチの日本庭園があります。
建築家が作る庭園。
桜の木もたくさんありました。花の時期にまた行きたいです。何せ入場できる、とわかりましたから!しかも無料で!!!
その日本庭園を見つめる『長崎の天使』
原爆で破壊された長崎の街から奇跡的に見つかったという彫刻の一部。
ああ、本当に、私たちは過去から学ばねば。
天使の先に、安藤忠雄氏の『ユネスコ瞑想空間』
筒型のコンクリートがそれです。
ヨーロッパ文化遺産の日には、中にも入れるのだそう!
それにしてもまさか、パリの7区のお役所街にこんなにZENな空間があったとは・・・
写真右、消防士のためだという螺旋階段が ⇧コンクリートなのに軽やかですっかり惹きつけられました。
ユネスコ本部の建築は3人の建築家によって実現されのだそうですが、当時の建築家の皆さん、本当いいお仕事されたと思います。
まるで京都、的なエスプリ。
桜の時期にまた、必ず!
イスラエルから寄贈された『寛容の庭』。石碑にはユネスコ憲章前文の一節が10ヶ国語で刻まれています。
その一番上に、ヘブライ語とアラブ語が並んで刻まれている。
こんな風に、アートが点在するユネスコ本部。メイン塔の7階は、なんと展望レストランでした〜〜〜!
エッフェル塔と、エコールミリテール(旧陸軍士官学校)の校舎と校庭がどどーん!
モンマルトルの丘や、凱旋門も一望。
「誰でもサイトから予約をして、利用できます」
とのこと、知りませんでしたよ!
前菜・主菜・デザートのコースメニューが40ユーロだそうです。
このユネスコ本部7階レストランの情報を調べたところ、ちゃんとトリップアドバイザー(!!)にも掲載が。⇨トリップアドバイザー
予約情報は、ユネスコサイトを⇨こちら!
月〜金曜日、12時から、ランチタイムのみ営業。電話予約もできるそうです。番号: 81600
7階のエレベータ前に、モンサンミッシェル柄の振袖が。
この日、得た情報は
① ユネスコ本部には誰でも無料で入場ができる。② アートの展覧会が開催され、こちらも無料で見学できる。③ 7階には展望レストランがあり、誰でも利用ができる。(現時点ではランチのみ)④ 敷地内に各国のアートがいっぱい!⑤ メイン塔他、モダニズム建築の傑作!!⑥ 隠れた桜の名所らしい。
などなど。
今週末、パリにいらっしゃる方、
ヨーロッパ文化遺産の日を利用して
ユネスコ本部に足を運ばれてはいかがでしょう?
専門家のトークショーや
子供向けのイベント等、催しも多いようです。
UNESCO
7, place de Fontnoy75007 Paris
おまけ:
3年前のヨーロッパ文化遺産の日は、
フランスの国会議事堂を見に行きました。
三越 洋菓子セレクション
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角野恵子の共著書、翻訳本、よろしければ手にとってご覧くださいませ。