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100 ans de cinéma japonais 滝口竜介監督作品『親密さ』上映とアフタートーク @パリ日本文化会館 / 日本映画の100年

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2019年2月23日

パリ日本文化会館にて、

濱口竜介監督映画『親密さ』が上映されました。









ジャポニスム2018のプログラムの一つ、

『日本映画の100年』にて実現。



フランスには
大勢の濱口竜介監督ファンがいます。



現在フランス全土で上映中の新作『寝ても覚めても』は
去年のカンヌ映画祭で大絶賛されました。



しかもちょうどこのカンヌ映画祭と重なるタイミングで、
2015年の作品『ハッピーアワー』
も、フランス初公開。
予期せぬロングランになった、
というエピソードがあります。





映画『ハッピーアワー』、ご存知ですか?
無名の素人たちが演じた
インディーズ映画です。

この『ハッピーアワー』で
フランス人の心をつかんだ濱口竜介監督。


私も『ハッピーアワー』で心をつかまれた一人として、
『親密さ』上映会に足を運んだのでした。






行ってびっくり!

『親密さ』は、なんと255分、4時間越えの大作!



前半・後半の
2部構成になっていました。


それを知らずに見に行き、
せっかくのお天気の土曜日の午後を
暗い場所で終えることに・・・
(注:浜口監督自身も、上映後に
「天気がいいにもかかわらず、映画上映に足を運んでくれて
ありがとうございました」
というような挨拶をされました・笑)

それでも、もちろん、
見て本当によかったと思える
見ごたえのある作品でした。





さて、この『親密さ」、
私にとっては『ハッピーアワー』に続く2作目の
濱口竜介監督作品だったわけですが、
前作に続き今作も、
一コマ一コマのリアリティーに
心底、圧倒された次第。




特別な美貌の持ち主ではない(失礼)

アマチュア俳優たちが演じているのに、

彼らが皆、類い稀な説得力でフィルムの中に存在していて、

映画の終わりにはすっかり、魅了されている。





生き生きした表情、

繊細な心の動きが伝わる語り方 etc

役者一人一人が、たまらなく魅力的な存在になってしまうのです。

ポスターの女優さんの表情、見てください!!

そしてあのブルーの光。





ところが、濱口竜介監督、

アフタートークではこんな話を。



「映画監督だからと言って

演技のことがわかるわけではなく(笑)

いつも通り、俳優たちにシナリオを渡して、

あとは各自に任せる、という方法をとりました」







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ちょっと説明すると、『親密さ』は

浜口監督がENBUゼミナールの卒業制作に

講師として関わり、作成したもの。
(つまり、やはりこれもインディーズ作品ですね)



しかも浜口監督、この映画に関わるまでは


『俳優たちを軽蔑していました』


『どうして演じたいのか?

役者に対して常にこの疑問を抱いて、

彼らを大切に扱っていなかったと思います』





と・・・!




こんなことを包み隠さず話してくれたのも

アフタートークの場所が

フランス(アウエイ)だったせい?

いや、日頃からこんな風に真っ直ぐ

話をする方なのかもしれません。



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『親密さ』制作期間3ヶ月間の最初の2週間で

後半・舞台の脚本を書き上げ、
(やっぱり天才ですね)

役者たちにはそれを練習してもらいながら、

同時に、俳優たち一人一人インタビューを行ったと言います。


この、インタビュープロセスを踏み、

彼らのことがわかった時点で

前半の脚本を完成させたそうです。








『親密さ』は、2010年12月から
2011年2月にかけて作成。
(たったの3ヶ月。これが普通ですかね?)

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この、俳優一人一人に行ったインタビューの中で、

彼ら一人一人に「演じざるをえない理由」が存在するのだと、


「目立ちたいわけでも、
注目してもらいたいわけでもなく、

そうせざるをえない
切実さがあるのだと

理解しました」




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*アフタートーク後、濱口竜介監督にサインを求めるファンたち





アフタートークでは、会場の観客からの質問にも回答。



『親密さ』の主人公が、

「世界中の人に1つだけ質問できるとしたら、
何を聞きたい?」

と、恋人に問いかけるシーンがあります。で、


「監督はどんな質問をしたいですか?」

という質問。


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「実はこの質問は、『親密さ』作成中に

実際に学生たちにした質問で、

それは、みんなにもっと聞き上手になってもらいたいという

意図があってのことだったのですが、

『私のことをどう思っていますか? と聞きたい』

という人が多かった

ぼく自身も、確かにそれは知りたいなと思いました」






私だったら、何を聞きたいだろう?

世界中の人に、みんなに、
1つだけ聞けること。

皆さんは、何を聞きたいですか?





こういう綿密な、人間同士のやりとりがあるからこそ、

濱口竜介作品には

独特のリアリティーがあるのかもしれません。




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『ハッピーアワー』DVDを持参し
サインしてもらうファン。




アフタートークの後にも

監督を捕まえてサインを求めるファン、

質問をするファンが後を絶ちませんでした。




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私ももちろん、質問をさせていただきました!


私 

「監督の作品は、特に『ハッピーアワー』が

たくさんの国で上映されたと思いますが、

フランスのファンの反応はどうでしょう?」





濱口竜介監督 

『フランスでは、日本以上に話題になっているので、

自分でもなんでだろうと思うところはあるのですが、

やはり嬉しいです。


フランス映画を見て育っているので、とても嬉しいです』





そうそう、そうです、そうなんです!

こういう親密さのある作品に、
共感する国民なんです、フランス人は!

と、心の中で、まるで自分の遠い親戚を
自慢するような思いでしたよ(笑)

ウッディ・アレンも
「フランスがあってよかった」と言ったようですし。







大林宣彦監督もおっしゃっていましたが、

やはりフランスの人々は、映画を愛し、

映画に誇りを持つ国民なのでしょう。






もし世の中が、マクドナルドだけになってしまったら

悲しすぎます。

映画も同じこと。





「みんなが待っていますから

どうぞたくさんの作品を撮ってください!」


と、身勝手なお願いをして、

短い質問を終えました。





濱口竜介監督の左手薬指には
キラリと結婚指輪が輝いていました。

奥さんいらっしゃるんですね、

いいな〜


























『寝ても覚めても』も見ました。
不思議なストーリーです。
私にとっては3つ目の浜口監督作品でしたが、
これだけは例外的に、共感できない部分もいくつかありました。
多分、私がすっかり大人に(おばあさんに)
なってしまったせいだと思います。










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by keikosuminoleb | 2019-02-26 03:25 | イベント & お披露目 | Comments(0)

パリ在住26年ライター&コーディネーター角野恵子目線のパリ情報です。Keiko SUMINO-LEBLANC, journaliste japonaise, FOOD et Life Style.


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