2018年10月
ヨーロッパ最大の日本酒イベント『サロン・デュ・サケ』と同じタイミングに、
阿部ロブション龍依さん厳選の日本酒と故ジョエル・ロブション氏の名レシピをペアリングでサーヴするランチにご招待いただきました。
サロン・デュ・サケ2018年の様子は、こちら ↓
会場はもちろん、ラトリエ・ド・ジョエル・ロブションシャンゼリゼ店 ↓
阿部ロブション龍依さんの企業サイト ↓
1枚目の写真、左が阿部ロブション龍依さん。
そうです、フランス料理の歴史に名を残す名シェフジョエル・ロブションさんの息子さん!
これまで・・・ロブション氏の私生活はヴェールに包まれていたと思います。没して直後にようやく表に出るところはフランソワ・ミッテランのケースと同じ。
よくぞ、家族を守ってきたと思います。
そして今回、ご縁あってこうして息子さんにお目にかかれ光栄!
ルイさんと一緒に写真に写っている5名が、彼が今回特別に厳選した日本酒の蔵元さんたちです。
ルイさんは、日本へフランスワインを、フランスへ日本酒(及びその他の食材)を、紹介・販売するのがお仕事。扱う日本酒はすべて、ルイさん自身が好きなものそして
「蔵元さんの人柄が好きなところ」
だけ!
その中から今回は特別に5つの蔵からそれぞれ1本ずつ
ルイさんプロデュースの特別な日本酒
を持参!
なんと、ルイさんの意見を取り入れて酒造りをし、ボトルやラベルのデザインもルイさんの意見を100%生かした日本酒なのだそうです!!
つまりこのランチは、ルイさんこだわりの日本酒と父ロブション氏の料理が出会う場、ということ。
どんなマリアージュが繰り広げられるのか!?
ドキドキしますね❤️
フォアブラのムースがアミューズ。(これは単品で、日本酒は無し)
赤いラインは赤ワインのジュレ風。泡はパルメザン。小さなヴェリーヌも凝っています。
1品目
ホタテのカルパッチョx日本最北端の蔵、北海道の国稀(くにまれ)酒造
吟風(ぎんぷう)という北海道の酒米を使って醸された日本酒。
ホタテのカルパッチョ・・・恵比寿のロブションで食べたのはもう20年以上前のこと。あの時の感動を、今でもよく覚えています。
パリの一皿はかなり個性のはっきりしたオリーブオイルがたっぷり。これに、キリッと男らしい国稀!
パリには美味しい日本酒がたくさん入ってきていますが私たち日本人が「日本酒」と聞いてすぐに思い浮かべる辛口タイプは、ほぼない印象。
淡白な中にじんわり甘みのあるホタテに、北の大地を思わせる媚びない(というのは変かな?)国稀。こういうマリアージュがパリにあるんだ、と、驚きました。
国稀酒造の林花織さん。
この数日前に開催された『酒巡りinパリ』では3つ星シェフ、ヤニック・アレノさんのお店で牡蠣と合わせて披露させたそうです。→酒巡りin パリ ルドワイヤン
純米大吟醸の華やかさや口当たりの良さを知ったフランス人には次なる日本酒の味覚世界を発見してもらいたいですよね。(偉そうですが)
そう思わせてくれた国稀さんでした。
2品目
アーティチョークのフリッターx若竹屋酒造所の wakatake福岡県の酒造です。
リースリングのようなすらりとしたボトルに金文字のラベル。エレガントです。
wakatakeにはウコンのような植物的な残り香がありそれがアーティチョークに合うというルイさんの分析でした。
「野菜に合うワインはなかなかありませんが日本酒はバッチリです」
と、ルイさん。
ごく薄い衣のアーティチョークのフリッターに合う日本酒 wakatake。おしゃれですよね。そのイメージをそのままボトルやラベルが表現しているのでしょう。限定300本の、希少な日本酒!
↑若竹屋酒造場の、篠田成剛さん。
とても考えの開けた方でした。(僭越ながら)九州の方々は歴史的に普通に海の外を見ている、という印象があります。つまり、勝負の場を日本に限定しない。
3品目
フォアグラと桃のソテーx基山商店の KIYAMA
切り絵のようなジャパニーズデザイン!
この1本、この日同席した蔵の皆さん全員が「素晴らしい!」と絶賛していました。
そのお味は・・・
まるで、高価なオーストリアワインだと私は思いました。昔飲んだ時のことを思い出したのです。とろりとしていて、果汁感があって、すっきりとした品のいい甘み。
これが日本酒なんだ、とびっくりです。
今田酒造の『海風土』→こちらを飲んだ時にびっくりした感覚とも同じだったので、もしや『海風土』と同じ白麹を使っているのかな? と思い基山商店の小森綾子さんに聞いたところ、
「77酵母を使っています」
と。そして、長期低温発酵で、それも期間がかなり長かったと記憶しています。
このKIYAMAも1タンク(というのかか?)分しかない希少なもの。ちなみに、ルイさんプロデュースなので日本では発売していません!(今回ご紹介する全てが基本、同じです!)
フォアグラの贅沢極まりないお味・食感と相まって、なんだかバチが当たりそうなるくらい凄まじいマリアージュ体験でした!
4品目
ルジェ(ヒメジ)のポワレx長野県・豊島屋のMIYAWATARI
みやわたり、と言えば諏訪湖、そして諏訪神社の神様です。詳しくは↓
豊島屋は、御柱祭りにも日本酒をお出しする歴史ある蔵なのだそう。豊島屋の林慎太郎さんより。
あと、タカノニシキという酒米を使っているはず(メモにある)なのですが、これは要確認。今検索しても出てきません。いずれにせよ、長野県で栽培した酒米です。
MIWATARIは、ボトルの重量感が半端ない!手にしてまず、驚きます。これもルイさんの意図。
そのせいで(?)骨太な日本酒が出てくることを予期しましたがフルボディーというよりは品よく、ピュアで、でも何か一味違った・・・海の魚ヒメジにあいます❤️
5品目
鴨ローストとロブションのジャガイモピューレx金紋秋田酒造の山吹
金紋秋田酒造代表取締役社長佐々木孝さんと!
こ・れ・もミラクルな一本!
同席されていた酒造の皆さんは
「先輩(佐々木さん)はチャレンジャーだ」
と絶賛!
金紋秋田酒造は、日本酒の熟成古酒に特化した蔵。
日本酒はシャンパンと同じでフレッシュが一番、瓶詰めしたらすぐ消費が一番、という一般常識があります。が、日本酒も熟成できるのですよね。
写真の山吹は30年ものです!
真っ赤な鴨と、ロブション名物ジャガイモのピューレに山吹。これがどんなにお似合いになることか!逆に、山吹以外の何を合わせるんだろうとまで感じました。ワインには表現できないであろう芳醇な美食世界・・・でももしかしたら、うんと良いソーテルヌなら・・・?いや、甘すぎて、重すぎるとおもいます。ソーテルヌも色々ですけど。
20年・・・尊い品です。
締めくくりはいちごとメレンゲの軽いデザートに
豊島屋のきぬごし梅酒と金紋秋田酒造の悠久の梅雫
フランス人は梅酒が大好き。こういういいものを、ちゃんとわかってくれます。
世界遺産であるフランス料理。それに寄り添い引き立て、お互いに1+1=2以上の成果を出し高め合うことができる日本酒の数々。
ずらり、今回の日本酒ラインナップです。ルイさんはこれらをすべて持参して、蔵元の皆さんと一緒にプラザ・アテネその他のそうそうたるレストランを訪ねたそうです。
ラトリエ・ロブションはもちろん、フランスきっての美食のテーブルでこれらのボトルに会えるはず!そして世界中から集まる美食家や美味しいもの好きに、新しい味覚世界の発見を与えてくれることでしょう。
ごちそうさまでした!
PS
いいものを作っていらっしゃる方々は
ポジティブ。
そう痛感しました。
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角野恵子の共著書、翻訳本、よろしければ手にとってご覧くださいませ。