今年も開催されました、サロン・デュ・サケ!
昨年のデータによると開催3日間で4000人が集まったという日本酒のビッグイベントです。
パリ在住者だけでなく、フランスの地方から、そしてヨーロッパ各国からも来客があるとのこと。
開催5回目を迎え、いろいろな面でインターナショナル感を増しているなあと実感しました。
その一つが、ロンドン市内で日本酒を製造するカンパイ・ロンドン・クラフト・サケの参加です!ロンドンから出展!(トップ写真の若いカップルが作り手さん)
彼らが参加していることを教えてくれたのはプレスイグレックの加藤亨延さん。『地球の歩き方』パリ特派員でもあります。
「角野さん、ロンドンの日本酒が来ていますよ」
と聞き(ありがとうございました!!)逃さず試しました〜〜〜
カンパイ・ロンドン・クラフト・サケ!
彼らの作る日本酒は3種類。最新作は『FIZU』(フィズ、ですね)、
スパークリング日本酒です。
酒米は、アメリカから輸入。サーヴァーからサーヴする『FIZU』は、正真正銘の「生」です!FRESH SPARKLING SAKEのデコがインスタばえしますね〜
飲んでみると、さらりとした辛口でなんとなく苦味を感じさせる?いや、苦味はないのになぜかほろ苦い気が・・・?覚えのあるこの香りはなんだったかな・・・
と考えていたら、な、な、なんと!ホップで香りづけしていると!
「日本酒を知らないロンドンっ子たちでも入りやすいようにビールでおなじみのホップを使いました。さらに、彼らの好きなスパークリング仕立てにしています。」
そうでしたか!
日本の酒造も「普段飲まない人でも飲みやすい日本酒作り」に余念がありません。みなさん、いろんな工夫をされています。その際フルーツの香りや花の香りへ進むことが多い印象。
しかしそうではなく、ホップ!これは日本人にはまず思いつかないでしょう。
すっきり辛口 & ホップの香り & スパークリング
普段クラフトビールを愛飲している人ならすんなり好きになること間違い無し。そんな要素を備えた新しい日本酒でした。男前なアプローチ、斬新でしたよ!
他には純米の『SUMI』濁りの『KUMO』。酒米は、日本から輸入した山田錦です。
「個性がないところが個性」と表現したくなるような、これ見よがしなところが全然ない日本酒たち。
力まず、ハッピー。
そういう酒造りもあるんだ〜と、教えてくれた気がします。飲みきりサイズもいいですね!クラフトビール感覚
もう一つは、リヨン郊外で酒造りをする
Les Larmes du Levant
レ・ラルム・デュ・ルヴァン酵母の涙!
去年に続き、2回目のサロン・デュ・サケ出展です。
今年はお燗もつけてくれました❤️
熟成感のあるこの色味。
去年試飲させてもらった時も美味しく、ただ「うますぎない? 重すぎない??」と思うくらいの旨味成分だったことが印象に残っており・・・
しかし今回、会場で「去年よりさらに良い」という噂を耳にし、今年も試飲させてもらった次第。
で、やっぱりうまかったです。
3つ上の写真のスタッフ集合写真に写っている白を着た背の高い男性が日本からはるばるヨンまで酒造りに来た蔵人さん。彼の右のフランス人男性がオーナーで、この方もやはり蔵人です。
去年は「なんでわざわざリヨンで日本酒を?」と、質問しました。
フランスには酒造りの設備も、材料も、伝統もない。環境としてはちっとも理想的ではありません。
が、フランスで作った日本酒は日本から輸入するよりも値段が安くできるというメリットが。
そして、こんなバカな質問をした後で思ったのですが、
いろんな国で日本酒造りがされるということが日本酒業界の発展にどんなに有益か。業界を盛り上げ、根付かせるカギだとさえ思います。
つまり、ワインのように。
わが故郷山梨でもワイン造りはされています。
日本酒がメジャーになる、ということはその国の人が、その国で作り、飲む、ということですよね。
フランス人のテーブルに、普通に日本酒が登るようになる、そこがまず目指すゴールでしょう。
そうすればこの先、日本生まれの生粋の日本酒はシャンパーニュ地方のシャンパンのように付加価値の高いものになるに違いない。そう思いもします!
リヨンの日本酒はリヨンだからこその日本酒。
ロンドンの日本酒と同じように!
しかしレ・ラルム・デュ・ルヴァンの方は
さすが日本人蔵人のいる蔵、
食中酒としてはもちろん
単品でじっくり味わっても楽しませてくれる素晴らしい日本酒たちでした。(地元のあんずを使ったあんず酒もありました!)
変わってこちら ↓500年の歴史を持つ剣菱酒造は酒も蔵元も、どっしり腰が据わっている感じ。
ジャポニスム2018のイベントの一つ『酒巡り in Paris』ウイークの中で、剣菱のイベント通訳をさせてもらい、せっかくなのでサロン・デュ・サケ会場で記念撮影。左が角野でございます。
日本酒ブームのずっと前からフランス人に知ってもらうための活動を地道に続けてきた剣菱酒造。その甲斐あってファンも多いです。白樫社長(右)のお人柄も大きいでしょう。(実際、彼のファンも多いです)
剣菱や獺祭が、他の酒造に先駆けフランスで活動してくれたからこそ、また、ラ・メゾン・デュ・サケのユーリン・リーさんやワークショップ伊勢の故・黒田さんらの尽力があったからこそ、現在の日本酒ブームです。
↓ こちらもやはり『酒巡り in Paris』でお手伝いさせていただいた今田酒造本店。
今年の夏、蔵マスター授賞式で試飲させてもらった『海風土』に衝撃を受け、ずっと心に残っていた蔵元さん。
「日本酒って、こんな風になるの?!」と思いました。本当にびっくりしました。「ナニぃ?!」の世界です(少年マンガ風に)。女性杜氏・今田美穂さん、チャレンジャーです!!それにいつも、めっちゃ素敵な笑顔!!
そんな蔵元さんと仕事させてもらえて嬉しかった〜〜〜!
伊藤酒造さんとも『酒巡り in Paris』でごいっしょさせていただきました。
「華やかで飲みやすい純米大吟醸がたくさん集まっているパリで、飲んだ人の印象に残る深みを持ったお酒を」
と、伊藤社長。独特の香りと熟成感のある『鈿女』はフランス人ソムリエが審査するコンクール『蔵マスター』でも賞を受賞しています。
そして、お嬢様は2017年ミス日本酒三重。サロン・デュ・サケの三重県イベントに登場し、三重の魅力を紹介。文字通り大きな花を添えていました。ミスに選ばれる方は美しいだけでなく知的ですね。
「普段日本酒を手にしない人にも選んでもらえるように」と、中身だけでなくデザインにも着目した神田豊島屋の『利他』。『酒巡り in Paris』で
パリの若者を魅了したボトルがこれ ↓
「江戸時代の人々は桜の花だけでなく、蓮の花もお花見したのです。」
そんな伝統から生まれたデザイン。
後で知ったのですが、このラベル東京の友人が手がけていましたよ!!!
エイタブリッシュのアッキー!
アッキー、デザインの力をこの目で確かに見たよ!!パリだけでなく、どの国へ持って行っても必ず注目されると思う!
サロン・デュ・サケにはインポーターさんやディストリビューターさんも出展されます。
コルシカ島が拠点の midori no shima(右)
新規に取り扱いが始まったという輪島の宗玄さんと(左)。
midori no shima は、私の故郷山梨県の
七賢の商品もたくさん取り扱ってくれていました!フランスに、そしてヨーロッパの消費者に届けてくれてありがとう!
今回、サロン・デュ・サケに出展されていた蔵元さんたちはみなさん必死にディストリビューターを探していた印象があります。
せっかく国境も文化も超えるいい商品を作っても、それを消費者のところまで届ける術が無ければどうにもなりません。
(だから獺祭は、最終的に直営店をパリに持つという決断をしたのだと思います。世界へ向けてのフラッグショップにもなります。)
作る努力と、届ける努力。
この二つの車輪がいっしょに回転して初めて前に進めるのだなと。大変なことです。
話を宗玄&輪島に移すと、
輪島というところは本当に魅力がいっぱい!沖縄か? と思うほど透明な青い海!そんな海を見下ろす棚田!新鮮な海の幸!!こんないいところ、外国人に知らせたら大喜びでは?と聞いたらば、輪島巡りの自転車ツーリズムを企画するフランス人が住んでいるそうです。さすがだ・・・
パリで最も多く日本酒を扱う京子食品ももちろん出店していました。
パリで一番古い日本食材店、そして実はお店に買い物に来る個人のお客様以上にヨーロッパ各国のレストランとの取引が大きい、という。ジェトロの取材で教えてもらったことです。
京子食品のレフェランスに入るということはヨーロッパ各国に売れる、ということ。
お売りするための道筋ができていれば、各蔵元がロンドンやイタリアでイベントをした時に「これはどこで買えますか?」という質問にも答えられます。お売りする術がある、というのは本当に重要ですよね。その時だけの「おいしい!」「素晴らしい!」で終わらせずに。
日本のバーテンダーグッズを販売する方も!
日本のシェイカーは実は独特な形をしているということご存知ですか?
フランスのバーテンダー(今流に言うとミクソロジスト)は、筒型のゴブレットみたいなものを二つ合わせたシェイカーを使います。
フランス人のアレクシーさん(左)は新潟産のバーグッズを輸入販売し、同時にオリジナルも販売しているとのこと。そのオリジナルも新潟産。
面白いですよね。
バーテンダーのみなさんは本当に凝り性で道具が命ですから、品質が良く美しい日本製は人気。
あと、写真はありませんが、ブルゴーニュにも日本酒を作るフランス人がいます。ヨーロッパの米で作る、酸の効いた日本酒。ボジョレーヌーボーのようにテーブルでサクサク飲むのにはいいかも、と去年、試飲をして思いました。
北海道から九州まで
日本全土から選りすぐりの日本酒が集まり、
さらにはロンドン、リヨン、ブルゴーニュからも
個性ある日本酒が集まった
サロン・デュ・サケ2018。
蔵元のみなさんや
ディストリビューターさん、
レストラン関係者の皆さんと話しながら、
自分自信の今後についても考えました。
唐突ですが、他力本願はありえませんね。
みなさん一生懸命です。
でもその一生懸命さを、必死さに落とさず、
「食文化を理解してもらうのは
時間がかかることだと思っています」
と当たり前に話していた剣菱の白樫さんのように、
動じず、自分を持って、
やるべきことをちゃんとやる。
それに尽きると思いました。
パリの日本酒、
これからも注目して、飲んで、応援してゆきます。
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