『フランス人は10着しか服を持たない』を読んでみて

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誰もがタイトルを知っているベストセラー本
『フランス人は10着しか服を持たない』

2014年10月に発売されてから2年も経った
去年、2016年秋に、
日本の友達にお願いしてお土産にもらい、読みました。


パリ関連の本は、
もうずっと前(20代の頃)からそう感じていたのですが
なかなか共感できるものに出会えません。
「この人のパリの本なら、ぜひ欲しい!」
と思って買った本に
「・・・あれ? パリってこんなんだっけ・・・?」
と、なんど思ったことか。


とかなんとか言いながら、当時の私(20代の頃)が
どれだけパリを知っていたかというと、
これがまるで初心者。
たった1度、1週間パリ旅行をしただけで、
第一それ以前は
この街の芸術にも、ファッションにも、
食べ物にも憧れていませんでした。
何も知らないも同然です。



パリのことをろくに知らない私が、
たった1度だけ旅行をし、
魅了され、
日本で感じられるパリを探して・・・

そんな時、本はとてもいいツールだと思うのです。

が、これがフィットしない。
楽しみに読めば読むほど「なんか違う」と・・・




で、気づいたのです。
「きっと、その人の数だけ、パリがあるんだ」
と。

パリは世界に1つですが、
そのパリを歩いて、見て、体験した人の数だけ
パリはあるんだと思いました。
(そういう都市も、珍しいかもしれません)
だから、共感できるという確信のある著者の本を読んでも
いまいち、私自身のパリとは違っていて
欲求不満が残ったのだと思います。

そんなわけで、パリに関する本を
あまり読まなくなっていました。



『フランス人は10着しか服を持たない』においては、
タイトルからして私は引きました。

「そんなわけないじゃん」
と、即座に思うからです。

また、
「こう言うキャッチーなことを言うから受けるんだよね」
とも、瞬時に思ってしまう。



いわゆる「ひがみ」なんですけど
それを差し引いても手が伸びず・・・

私の友人や先輩たちからは
「パリ本のベストセラーなんだから、同業者として一度読んでおいたほうがいいよ」
とアドバイスもされましたが・・・


そして2年も経ってようやく読んで、
読み終わった感想は
「面白い!」
です!!!


なぜ面白かったかというと、
パリとか、10着とかとは関係のない
もっとずっと普遍的なことを言っている本だから。

正直、最初の数ページで展開される
ステレオタイプな描写には共感できませんでした。
が、ページが進めば進むほどステレオタイプから離れ、
キャッチーなハウツー(ワードローブを10着に絞りましょう!とか)もなくなり、
「確かにそうだわ!」
と、共感。
彼女の提案に「そうだね、これからはそうしてみよう!」
と学びもするようになっていたのです。




ざっと1度だけ読んでみての感想ですが、
そんな風に感じました。
そしてまた、
さすが、アメリカで本を出すような人は
ちゃんと勉強しているし、実力もあるわと。

読み始めるまえは「ブロガーがたまたまヒットして」というようことを
聞いていたのですが、
子供の頃からショービズの世界で仕事をし、
大学では演劇(映画だったかな?)を学び、
その後クリエティブコースで文筆も勉強している
努力と実力の人でした。
ジェニファー・L・スコットさん!

また読み返してみようかな〜






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Commented by kaolulu-nv at 2017-03-25 19:02
すみのさん、こんにちは!
パリに関する本を読まなくなったという心境、激しく共感しました。フランスが好きなのに、ある頃からフランスに関する本や記事を読まなくなりました…。フランスに住んでいないからこその「ひがみ」と、何が真実なのかよくわからなくなって来たことが原因かも…。

フランスのいいところを強調しすぎていたり、悪いところをあげつらねていたり…。フランス人が書いているニュースを読んでいても「また自慢だ!」「また欠点を発見してしまった」と失望の繰り返し。最近はフランスのどんな面をブログに紹介したらいいのだろうとマジメに悩んでいます(苦笑)

すみのさんの言う通り「人の数だけパリがある」んですよね!なんだかスッキリしました。
私も避けていたこの変なタイトルの本(笑)、読んでみようと思いました。パリとか10着とは関係のない本なんですね。
週に1回は書店に行くのだけど、最近はマンガイラストの装丁ばかりで手が伸びなくなりました。いい本を探すのが難しくなったなと感じています…。
Commented by keikosuminoleb at 2017-03-26 16:58
> kaolulu-nvさん

共感していただけて嬉しいです!
このブログのおかげで実感できたこととして、
「どーせ少数意見だよ」と卑下しているような(また人からも指摘されている)部分に
案外共感してくださる人がいる、ということ。

実際問題本の企画は全く通らず、
このまま私はどうするんだ? と思うことばかりですが
でも共感してくださる方、応援してくださる方は確かに存在する。
そういう方々に支えられてこうして日々があります(本当に)。

なんとか、そういう少数意見に思える感覚を
いい形にして(バラバラとしたブログではなくて)、
共感・応援してくださる方々にお届けしたいものです。

マンガイラストの装丁ばかりで手が伸びない、という意見も
とても参考になりました。
kaoluluさん、コメントありがとうございました!!



by keikosuminoleb | 2017-03-11 21:45 | 読書 | Comments(2)

パリ在住26年ライター&コーディネーター角野恵子目線のパリ情報です。Keiko SUMINO-LEBLANC, journaliste japonaise, FOOD et Life Style.


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