ディスティルリー = 蒸留所、
つまり、「パリの蒸留所」です。
コニャック、アルマニャック、など
世界的に有名な蒸留酒が多く存在するフランスでは、
伝統的に、蒸留所は
コニャック地方や
アルマニャック地方にあるもの。
AOC(産地呼称)のない土地で
蒸留酒を作ることは違法です。
ところが、昨年1月、
パリに初めて
政府認定のポットスチルが誕生!
不可能を可能にしたのは
エピスリー(高級食材店)
Julhes ジュレスのニコラ・ジュレスさん。

私生活では30代の若いパパ、
仕事ではパッションの塊!!
「文化の交差点・パリで、理想のジンを作りたい。
その夢を叶えるためには、何年かかってもかまいません」
毎週、お役所に出向いては
窓口でそう訴え続けるニコラさんに、
「そんなの無理だよ。許可されていなものはできないよ」
と、最初は相手にもしなかった窓口の役人たちが
次第に聞く耳を持ち始め・・・
しまいには
「じゃあ、どうすれば実現可能か、
一緒に考えてみよう」
と。
そうして
4年がかりで実現した夢が、
ディスティルリー・ド・パリなのでした。
「4年越し、といえばそうですが
逆にいえば
たったの4年でできたんです」
と、ニコラさん。
思いのある人は違いますねー。
パリにたったひとつのポットスチル。この中で穀物がビールになり、そのあと・・
ニコラさんご自慢の調整可能な冷却器へ移り・・・
↑ これ、ニコラさんが独自に開発した特注品で世界に一つしかないそうです。
こちらも特注の樽に詰められてハーブやスパイスの香り付がされる、という・・・
樽のサイズが小ぶりなのは、こまめに(例えば数時間ごとに)中身の状態を確認し、味の調整をするのに理想的だからだそうです。
「大鍋で作る大衆料理と、三ツ星シェフが1皿ずつ小鍋で仕上げるガストロノミー料理との違い、そんなイメージです」と、ニコラさん。
こうして完成するパリ産のジン、ウオッカ、ラムの味わいについては、ぜひ、ドリンクプラネット をお読みいただきたいです!(有料サイトなので、登録が必要です)
さて、
2016年4月11日のこの日は
コラボ商品のお披露目会。
クラフト蒸留所、
マイクロディスティラーの持ち味を生かし、
ディスティルリー・ド・パリは
パリのバーとコラボしたオリジナルジンを作ってもいます。
この日紹介された新商品は

小さな小さなディスティルリー・ド・パリにジャーナリストが多数来場。

コパーベイの南仏&ビーチのイメージを反映しアニス、柑橘類、クローブ、カルダモン、フレッシュハーブなどを抽出したジン。ディスティルリー・ド・パリではハーブや果物は新鮮な生のものだけを使っています。

コパーベイのバーテンダー氏が
オリジナルジン2種類を使い
2つのカクテルを披露してくれました。
(写真を撮らずに飲んでしまった・・・)
コパーベイの共同経営者で女性バーテンダーのオレリーさんに、なぜオリジナルジンを作るのか質問したところ、お返事がとても興味深かったです。
「既存の有名銘柄は、1つのジンで全てのカクテルを作れるようなオールマイティーな商品を作ろうとする。でも、バーテンダーの立場からいうと、ジントニックに欲しいタイプのジンとマティーニのそれとは、全然違うものなんです。ビッグネームたちはこのニーズをなかなか理解してくれません。
パリのバーシーンでは今、ジントニックが流行っているので私たちにとって最高のジントニックを作るためにまず、ベースになるジンを極めたいと思いました。それに、ニコラの店とはご近所なのでいつか一緒に何かしたいと思っていたんですよ」
なんと素敵なご近所付き合い!こういう面白い、細かい動きが集まって「パリの魅力」が作られているんだ、とつくづく思います。
ちなみに、オリジナルジンを1つ完成させるために13〜14か月を要したそうです。その間、コパーベイのメンバーも頻繁にディスティルリー・ド・パリに足を運び各段階で必要なジャッジを行った、と。
説明会の後は、カクテルと美味しいおつまみの数々を囲んで会話のひととき。エピスリーJulhes は、パンやパティスリー、チョコレートを
製造してもいます!(ここの超クラシックなミルフィーユ、「普通」を極めた感じが好きです〜)

イルドフランス地方(真ん中がパリ)の農産物の地図が、壁に。小麦、洋梨、さくらんぼ・・・
パリ10区、雑多でにぎやかな商店街の奥に、こんなにのどかな中庭があって、そこに、こんなに小さな蒸留所があるなんて。ドリンクプラネットの取材で初めて伺った去年の夏、田舎風のこのムードに感動しました・・・写真のこの日は、あいにくの雨でしたが。

「もしお金儲けが第一なら、『パリ産』と大きく書いたラベルを貼ってエッフェル塔の形の瓶に詰めて売ればいい。でも、一番したくないことがそれなんです。
それにもし、話題性が欲しいならオーガニック食材を選んでいることやグリーンエネルギーを使っていることをもっとアピールすればいい。でも、それもしたくない(笑)
僕が作りたかったのは、産地の伝統から自由な全く新しいジンなんです。だから、既存の伝統にまつわる呪縛からできるだけ離れたかった。
この仕事でアメリカに行くと、かの地の人たちは伝統や土地の歴史を第一に考えていることがよく分かります。反対に、新しいアプローチや美を追求する姿勢にもっとも理解を示してくれるのは日本人なんですよ」
と、ニコラさん。ディスティルリー・ド・パリと日本のバーのコラボジン、近い将来に誕生するかもしれませんね!
ディスティルリー・ド・パリのジン、ウオッカ、ラムは、
エピスリー『ジュレス』で購入できます。
Jules Paris
54, rue du Faubourg Saint Denis75010 Paris営業時間;月曜 10時〜14時 15時30分〜20時30分火〜木 9時30分〜14時 15時30分〜20時30分金・土 9時30分〜20時30分日曜 10時〜14時
定休日: なし
*このほか支店あり。詳しくはサイトを→Jules Paris
追記:
ディスティルリー・ド・パリの商品は、
ボンマルシェの食品館グランデピスリー・ド・パリや
ラファイエットグルメでも購入できるようになるそう!
特別なお土産にいいですよね!
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