日本酒『獺祭』とフォアグラ @ シャトー・ド・クールバン & Spa Nuxe
2016年 02月 28日
2016年2月19日、
日本酒の『獺祭』と
フランス産のフォアグラを合わせるイベントに
ご招待いただきました。
場所は、Château de Courban & Spa Nuxe 。
ブルゴーニュ地方の田舎町にある、
感じの良い4つ星シャトーホテルです。
シェフは、木下隆志さん。
日本人!
だだっ広〜〜〜〜〜い耕作地の続く
フランスらしい風景の中をひたすら進み
(最寄り駅から車で約45分)
ようやくたどり着く石造りの小さな村・・・
そこに日本人シェフがいるなんて!
誰が想像するでしょう。
「フォアグラと日本酒のマリアージュ
という実験的な挑戦は、
日本酒に詳しい料理人にお願いするべきだ
と思っていました」
と、今回のイベントを企画したグループ
『セッチエム・グ』のジャン・デュソソワさん。
*HP Septième Goût
しかも、フォアグラという伝統的なフランス食材を
熟知している料理人でなくてはなりません。
木下シェフは、ディジョンや南仏の
星付きレストラン厨房に加え、
エリゼ宮の宮廷料理までも担当した
経験豊富な料理人。
伝統フランス料理の頂点と、
日本酒。
そのどちらも心得た料理人、ということで
木下シェフにぜひ! と話が進んだそうです。
さて、フォアグラは木下シェフが調理してくださるとして、
それに合わせる日本酒は?
日本で、そしてパリでも大人気の 『獺祭』から、
獺祭 EU50
獺祭 磨き 二割三分
獺祭 磨き その先へ
獺祭EU50は、フランスの酒税を意識し、
アルコール度数14度で作った特別な日本酒。
(詳しくは、
酒食ジャーナリスト・地域食ブランドアドバイザーであり
山本洋子さんのブログ こちらを)
ジェトロの2011年資料によると、
アルコール度数15度未満の醸造酒(つまりワイン)には
100ℓにつき3.55ユーロの酒税がかかり、
15度〜22度未満になると、
233.51ユーロの酒税がかかることがわかります。
14度と15度、1度の差で
いきなり約70倍!
この70倍が、消費者の負担になるわけで・・・
「ワインの国フランスは、こうやって
自国の文化・産業を保護しているんですね」
と聞いたことがありますが・・・
さて、この3種類の『獺祭』を
4つのフォアグラ料理と合わせる。
これが今回、木下シェフに課されたミッション!
以下、
木下隆志シェフが披露した
フォアグラと『獺祭』の4つのマリアージュを、
順を追ってご紹介します。
1皿目
獺祭 EU50 冷酒(8〜10度)
鴨のフォアグラのフイユテ
クンバワ(コブミカン)のムース添え
バターではなく、フォアグラで層にした
フイユテ(パイ生地)!
フォアグラの香りとクンバワのムースが合います。
フルーティで軽い飲み口の獺祭EU50は、アペリチフにぴったり。
2皿目
獺祭 EU50 ひなた燗(30〜35度)
小鴨と鰹節のコンソメと鴨のフォアグラのポシェ
ブルドールカブと揚げ餅のイルフロッタント
まるで懐石料理・・・
研ぎ澄まされた旨味成分が、器の中に凝縮。
温度を上げ、主張を増した獺祭EU50との調和・・・
・・・申し訳ないけど、白いご飯が欲しい!
3皿目
獺祭 磨き 二割三分 冷酒(8〜10度)
梨のグラニテとグレープフルーツ
桜の花のメレンゲ、ガチョウのフォアグラ添え
仕切り直しのシャーベット。
冷凍したフォアグラを、シャーベットの上に削る一品です。
シャーベットの冷たさで舌が麻痺しつつも
(ちょっともったいなかった)、
獺祭磨き二割三分の深みのある爽やかさを
楽しませていただきました。
4皿目
獺祭 磨き その先へ 冷酒(10〜15度)
ビーツと日本酒でマリネしたガチョウのフォアグラのグリル
ビーツサラダ、ビーツのチュイル
誰もが絶賛した一皿!
とろりとレアなフォアグラには
ほんのり獺祭の風味・・・
隠し味の八角は、気づかないほどの微妙なところで
絶妙に塩梅されています。
「試作のために獺祭を試飲しながら、
フォアグラとの共通点は、
澄んだピュアな味わいにある、と気づきました」
という、木下シェフの言葉通り、
その双方の魅力が引き出された
見事なマリアージュ。
堪能いたしました!!
この後、私たちは
木下シェフによるディナーもご馳走になったのでした。
この日、フランス人ジャーナリストたちを前に
フランス語で堂々と料理の説明をし、
自分の意図したところを解説した、木下シェフ。
フランスで活躍する日本人シェフの
次世代を見た気がします。
厨房チームには
日本人料理人たちの姿!
リヨンやオーベルニュの2つ星、3つ星で活躍する
日本人料理人が、
木下シェフの元に集まったという。
(厨房はフランス人と日本人が4:6、
ホールは全員フランス人)
シェフパティシエールの長谷川佐恵さんは、
ご自分でパンも作っていて、
これがなんとも・・・
癒されるような、心にしみるお味でした。
フランス人ジャーナリストも絶賛!
(翌日、シャス・ア・クールの
ピクニックで出してもらった
長谷川佐恵シェフパティシエールの作・洋梨のタルトも、
恐るべき好評ぶり。
包んで持ち帰る人もいたほど!!
ああいうシンプルな焼き菓子が、目が飛び出るほど美味しい・・・
素晴らしいです。
やっぱり癒しの味、です)
13歳で料理人を志し、
中学校に通学しながら早朝の時間帯に修行を始め、
親の反対を押し切って進んだ調理学校は首席で卒業。
日本でプロのキャリアをスタートし、
21歳に渡仏した木下隆志シェフ。
13歳の若さで自分の仕事がわかっていたことも、
21歳の若さで渡仏の準備ができていたことも、
驚きの事実です。
現在36歳。
本当に次世代、いや、世代交代です!!
このイベントで知り合ったジャーナリストたちも
確実に世代交代していました。
例えば、私がよく知っていた
ゴーミーヨ編集長に育てられた、という
30代の若手が、
ワイン専門誌を代表してイベントに参加するのです。
今まではこういうお集まりに行くと
料理でもワインでも、専門家は皆、年上ばかりでした。
が、完全にひっくり返っていると実感。
帰りの電車の中で、みなさん口をそろえて言っていました。
「フォアグラはクリスマスの定番で
フォアグラといえばソーテルヌだったけれど、
日本酒を合わせるのは全然悪くないね。
ソーテルヌを合わせるよりずっと軽く爽やかになるし、
重たいクリスマス料理に新しさが加わって
いいんじゃない?」
今年のクリスマスは、フォアグラ&日本酒で決まり!
フランス人の面々にそう思わせたのも、
木下シェフの手柄というものです。
本当にブラボー。
シャトー・ド・クールバンは
パリからはちと遠いですが、
日本から親戚や友達が来たら
1泊旅行で連れて行来たいものです。
観光名所だけじゃない、本当のフランスの魅力を
見て、感じることができます。
別の機会に、今回の会場となった
シャトー・ド・クールバンの
お部屋写真をアップします・・・ 分けないと、長くなりすぎてしまう。
ところで・・・
パリは日本酒ブーム!
日本全国の日本酒を集めた
サロン・デュ・ショコラならぬサロン・デュ・サケ
なども開催され、大盛況です。
とはいえ、
ボリュームゾーンでは今も
中華料理の食後に出される強い蒸留酒のことを
サケ、と思っているフランス人がほとんどなのだそう。
本当のサケ、日本酒は、ワインと同じ醸造酒で
アルコール度数も高くない、ということから
知ってもらわねばならないようです。
それを知る最初の一杯が『獺祭』なら
最高ですよね!
・・・『獺祭』が普通に、一升瓶で買える
日本が羨ましいです。
ちなみに、シャトー・ド・クールバンのお客様に、
日本酒をリクエストするゲストはまだないそうですが、
ジャパニーズウイスキーのリクエストはあるとのこと。
日本酒も、日本ワインも、
ジャパニーズウイスキーをフランスに広めた
ニッカの努力にならい、草の根活動&広告を、ということですね。
来月、ぜひご感想お聞かせください!
この日、私たちが気になったのは
「サーヴィスの時間・タイミング」でした。
試食・試飲の品々に関してですが、
ちょっと長く待たせすぎ、というところはありました。
普段のサーヴィスはどうなのか。
普段の料理はどうなのか。
(この日は日本酒を合わせることもあり
かなり日本を意識した料理だったので)
興味深く、知りたいところです。
昔からよくご存知の方が、こうして遠方からわざわざいらしてくださる
ということが、すでにものすごくありがたいことだと思います。
シェフも感激するのでは・・・
よろしければ是非、ご感想をお教えくださいませ!
フランス経由で獺祭を知る、面白い出会いですね〜!
私もフランス経由で小津映画を知りました・・・笑
あたふたさん好みの男っぽい日本酒、どんな銘柄だろう・・・興味があります。
パリの2区に新しく「メゾン・デュ・サケ」がオープンするのですが、
そこではまさに
「日本酒にもいろんなタイプがあるんですよ」というところを
見せていくのだそうですよ。
仕掛け人は、フランス人男性のユーリン・リーさん。
燗の温度の違いで変化する味わいを比較してみる、という
フランスでは初めての試みもあるそう。
あたふたさんの狙うところではないですか?!
なんでわざわざCO2(輸送の。瓶は重いです・・・)を出してまで! とも思いますが
みんなが幸せになる日本酒なので、ひとまず許して〜という感じです。
輸送の事を思ったら、日本酒もワインみたいに750mlくらいにしたら、少しは良いでしょうか。まあ、あの一升瓶のでーんとした感じが良いのでしょうけど。そういえば、山梨では、ワインも一升瓶だったりするのですよね!?
これまた、楽しいじゃありませんか!?
いろんな国の人たちに、本当の日本酒の魅力を知ってもらえらたら!
こんなに嬉しいことはありませんよね!
ようやく日本も自国の文化を発信です、安くて安全な車や家電だけじゃなく。
私も、一升瓶に一票です!!
(山梨の一升瓶ワイン!! 昔ながらのラフな感じが好きです〜〜❤️)
丈夫で軽い一升瓶も出てくることでしょう!
コメントありがとうございました、力が湧いてきました!!
はい、そうです!
私だけに読める方法で、本名でコメントを下さったので、
匿名にした方がいいと判断し、
「鍵コメさんへ」とお返事させていただきました。
柚子の木ですが、2007年頃のミッシェル・トロワグロの話では
もう何年も前に自分で植えて
フレッシュなものを使っていると言っていました。
柑橘ですと、数年前からコブミカンが
使われるようになりましたね。
こちらではコンバヴァと呼ばれています。
もろもろお気遣いありがとうございます。
またご縁がありましたらその時に。
フランスのレストランをあちこち楽しまれて何よりです。
今度ギー・サヴォワに是非いらっしゃってください。
場所はモネドパリです。
一流店もいいですが、我が家の近所のタイ食堂なども最高ですよ!
これからも食を満喫されますよう。