Je suis Charlie - 『シャルリー・エブド』銃撃事件にかんして、

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日本でも報道されているとおり、
1月7日、11時20分頃、
風刺漫画で知られる『シャルリー・エブド』紙編集室が銃撃され、
10名を超える死者が出ています。

犯人は覆面をした2人の男で、銃の乱射後
「預言者Mahomet (ムハンマド)のための復讐」と叫び逃走したことから、
この事件はイスラムファシストによるテロ行為
と判断されたようです。
(下のニュースでは「2人の男」と報道)


逃走する犯人の映像→Le Monde




フランスに暮らしていると、
フランス国家とイスラム教徒との折り合いの悪さを
感じる機会が多いです。
学校で、教師が女子生徒のヴェールを剥ぎ取った事件は、
もう10年も前のことでしょうか。
この時、私自身のフランスの親戚が、そろって
「学校は無宗教であるべき場所だから、剥ぎ取って当然」
(追記:私生活の中での信仰はもちろん自由で、
ユダヤ教のシナゴグも、イスラム教のモスクも
フランス中にあります)
と話した、その平然とした様子に、ショックを受けたこと
よく覚えています。

その後、いろんな意見を読んだり聞いたりするなかで、
だんだんと
宗教戦争、魔女裁判など、暗い経験から学んだフランス人たちが
”公の場は無宗教”という姿勢を貫く気持ちも
無理もない、と、思うようになりました。

「フランスでは、公共の場において、
宗教的意図のあからさまな装束はタブー」(ユダヤ教徒の頬の髭なども)
「イスラム教徒のヴェールを、精神的暴力と捉えるフランス人は多い」
「逆に、嫌がらせ目的で、
宗教的意図のあからさまな服装をする人もいるようだ」
など、
フランスに暮らしながら知ったことです。

私が着物姿で外出しても、
それは宗教的な意味を持たないので、全く問題はない。

イスラム教徒に関しては、
植民地支配の歴史、その後の移民問題などがあるので、
どこからどこまでが宗教問題なのかはっきりしない、
根深い、複雑な問題なのだと感じます。




昨年末、ナントのクリスマスマーケットで
人混みに小型トラックが侵入し、
死者1名と多数の負傷者を出した事件がありました。
このニュースを報道する際に
「宗教的な意図は無い」と、ことわりがあり、ほっとしたのですが、
私自身も、知らず識らずのうちに、
テロ行為・無差別殺人=イスラムファシズム
と、判断しがちになっていたのかもしれません。
そのあとのラジオで、イスラム教徒から
「事件があるたびに、疑われていてはたまらない」
という意見が報道されてもいました。

昨日、1月6日のラジオは、
翌1月7日に発売される
作家ミッシェル・ウエルベックの新著の話題でもちきり。
「イスラム教に統治される近未来のフランス」を描いた内容とのことで、
イスラム教とフランスについて、激しい討論が行われました。
そして、今日のこの事件です。




今日のような事件が起こるたびに、
どうしてそんなことをしなくてはならなかったのか、問いたくてたまりません。
新聞の編集室を銃撃したり、
ユダヤ人の幼稚園児を皆殺しにしたり、
ユダヤ教美術館の観光客を撃ち殺したり。
ほかに方法はないのか?
世界中を敵に回して、どうしたいのか?


『シャルリー・エブド』のジャーナリスト、風刺漫画家の死を悼み、
表現の自由、報道の自由を訴える動きが
フランス全土、ヨーロッパ諸国に広がっているようです。


『シャルリー・エブド』デモ集会の画像中継→Le Monde





2011年の震災の衝撃を思い出しています。





追記:(2015年1月10日)
事件が一応は終結し、今思うのは、
上の文章を書いた時点の自分の感情は
「イスラム教とテロリストは別」
とはっきり意識していたにもかかわらず、
読んだ印象としては
その意識が曖昧だ、ということです。

イスラム教とイスラムファシストは別だと、
オランド大統領もはっきり公言しています。
上の文章と逆のことを言うようですが、
フランス人の多くも、オランド大統領と同じ意見だと
フランスに生活する者の実感として述べたいと思います。
この週末、フランス全土でくり広げられている
人々の連帯の意思表示が、それを証明していると思います。






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Commented by kaolulu-nv at 2015-01-08 10:45
日本でもテレビを見ていて、速報のテロップが出ました。
日本人は単純に「シリア爆撃の報復か?」と思ってしまうのですが、フランス国内の身近な問題なのですね…。
両者の心の中にある偏見や差別。
日本には、そこまで憎しみ会う相手はいません。まあ、中には韓国や中国にそんな気持ちを感じる人もいるけれど、それは「羨ましい」という感情の裏返しであることが多く、お互いが意地を張りあっている感じ。実際、日本国内にいる異邦人は、すっかり日本人化していて、よほどのマナー違反をしない限りは責められることはありませんしね…。

フランスは自由と平等の国ゆえ、かえって制約も多く、抵抗も生まれやすい。でも、暴力を使うのは最低ですね。。。冷静に、平和的に解決することを願うばかりです。

Commented by keikosuminoleb at 2015-01-08 17:58
*kaoluluさま、
いまもラジオを聞いていますが、ずっとこの話題です。
今朝、パリ南端の街モンルージュ(マラコフの隣)で警官が打たれたニュースも
同時に報道されています。

オバマ大統領、メルケル首相、キャメロン首相ほか
各国の大統領・首相が、今回の『シャルリー・エブド』襲撃事件に対して
意見を表明しているとのこと。
ほんとうに、平和的に解決してほしいです。

Commented at 2015-01-08 18:09 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by keikosuminoleb at 2015-01-08 21:43
*鍵コメさま、
憎しみからは何も生まれない、
いま、多くの人が、そう自分に言い聞かせていると感じます。

コメント、ありがとうございました。
うまくお返事できず申し訳ないです。

by keikosuminoleb | 2015-01-08 06:43 | パリ郊外と日々の暮らし | Comments(4)

パリ在住26年ライター&コーディネーター角野恵子目線のパリ情報です。Keiko SUMINO-LEBLANC, journaliste japonaise, FOOD et Life Style.


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